ポールウォーキングって、どんなスポーツなの?
チャオ!
ポールウォーキングが大好きなこちかずさです。
こちかずさは日本ポールウォーキング協会認定アドバンスコーチですが、上位資格を取ろうと奮闘中です。
そんなこちかずさがポールウォーキングに関する疑問を完全解説いたします!
結論を先に言っちゃいますと、
『介護予防効果だけでなく、認知症予防効果もある優れた歩行スタイル』なので、シニアに絶対おススメしたい!ってことです。
話はポールウォーキングの誕生秘話から始まります。
ポールウォーキングの誕生
長野市松代にある整形外科のクリニックで、あるドクターが来院されるシニア世代の患者さんから「腰とひざの痛みが、なかなかとれなくて…」と相談されました。
「じゃあ、今日は体にやさしい立ち方や歩き方を練習しましょう」と提案。
「いち、にい、さん。いち、にい、さん」と一緒に歩きながら、ウォーキングを指導しました。
「よし!」と思ったのもつかの間…
診察室を出ると「あれれ?不良姿勢に戻ってる!」
そんなことが続き、ドクターが考えた結果は…
「ひらめいた!2本のポールを使えばバランス良く歩けるぞ!」
そう、これがポールウォーキングが誕生した瞬間なのです。
そして、このひらめきドクターこそ、整形外科医でスポーツドクターでもあり、日本ポールウォーキング協会会長である安藤邦彦氏なのです。
『ポールウォーキングは、日本発祥のスポーツ』なのです。
ノルディックウォーキングとの違い
2本のポールを使うという意味で、「同じもの?」と見られがちなポールウォーキングとノルディックウォーキング。
ノルディックウォーキングは、冬季スポーツのノルディックスキーの夏季トレーニングが原点にあります。
しかしポールウォーキングの発想の原点は、医学にあります。
違い①:発祥地
- ポールウォーキングは日本が発祥地
- ノルディックウォーキングはフィンランドが発祥地
違い②:発想の原点
- ポールウォーキングはスポーツドクターが考案した(歩行の安定を重視)
- ノルディックウォーキングはノルディックスキーの夏季トレーニングとして考案された(運動強度はポールウォーキングより高い)
違い③:ポールの先端の接地
- ポールウォーキングは、ポールの先端を足元(かかと付近)に置く
- ノルディックウォーキングは、ポールの先端を足と足の間(中間付近)へ置く
違い④:運動として目指すところ『ゴール(目的)』
- ポールウォーキングは、ポールを持たなくても歩行できることをゴールとする
- ノルディックウォーキングは、ポールで推進力を得ることをゴールとする
ポールウォーキングのポールは、歩行のバランスを補助する道具です。
歩行能力が回復し、正常に歩行できるようになれば『不要の道具』となります。
ノルディックウォーキングでは、2本のポールで後方への押し出しで推進力を得ます。
2本のポールは推進力を得るためには必須の道具です。
ポールウォーキングの効能
ポールウォーキングは下半身だけでなく、上半身の筋肉も使うので、高い運動効果が期待できます。
歩行時の安定性の高さから、健康予防医学として利用可能。
誕生時の事情や運動処方としての可能性から、ポールウォーキングを『ポールメディカルウォーキング』とも呼びます。
効能①:筋力の低下による姿勢の悪化を改善
筋力低下や柔軟性の不足による姿勢の悪化は、ポールウォーキングで改善できます。
同時に歩行も正常化します。
ポールを持つだけで歩行姿勢が改善するポールウォーキングは、優れたウォーキングメソッドなのです!
効能②:ポールウォーキングは、全身運動
- 手を前方へストレッチ⇒肩こり解消へ
- 自然と歩幅が広くなり、結果として筋力アップへ⇒腰痛の解消とヒップアップ効果
- 肘を後方へ引くことによりストレッチ効果⇒猫背の解消へ
- 手を前方へ押し出すことにより上体をひねる⇒腰痛の解消とインナーマッスルの強化
ポールを振り出した足のかかと付近に置くことで、体を支える支持点が増え、歩行時の安定性が増します。
ポールウォーキングの効果
楽しむ人への効果
ポールウォーキング専用ポールを持って立つだけで、背筋がのびます。
身体の左右のバランスもとれ、立った姿勢が美しくなります。
ポールウォーキング専用ポールをウォーキングに活用すれば、
- 全身の筋肉を刺激するので、ダイエット効果は抜群
- 上半身を動かすことで、肩こりや腰痛が改善
- 快適に歩行できるので、歩行姿勢が改善
- 生活習慣病、メタボ(内臓脂肪症候群)、ロコモ(運動器症候群)を予防・改善
シニアには特に、『健康寿命が延びる効果』が期待できます。
リハビリテーションへの効果
ポールを持つことにより支持点が増加するので、歩行時の安定性を確保できます。
踏み出しのタイミングを誘発するので、自信を持って歩行することができます。
歩幅が広がり、スムーズな歩行感覚が覚醒します。結果として歩行時の姿勢が改善します。
シニアは歩幅が広がると、認知症予防効果が期待できます。
こちかずさがポールウォーキングをシニアに推奨しているのは、認知症予防効果と介護予防効果の両方の効果が同時に期待できるためです。
運動強度を自在にコントロールできるため、シニアが体調に合わせて運動強度を調節できます。
ノルディックウォーキングとの違いを知ることで、ポールウォーキングがシニア向きのスポーツだと理解していただければ幸いです。
認知症予防への効果
『歩幅が広がると、認知症予防になる』という事実は、あまり知られてはいません。しかしエビデンスのある事実です。
ポールウォーキングはポールを持つだけで歩幅が広がる、優れたウォーキングスタイルです。
なぜポールを持つだけで歩幅が広がるのか…。それはポールを持つと安心感が増すから…と考えています。
高齢になると歩行に対して不安感が増し、自然と小幅になってしまうのものです。
ところがポールを持つことで不安感が減少し、自然と歩幅が広がるのです。
もちろんポールウォーキングをするうちに筋力が増し、ますます歩幅は広がります。
しかし初めてポールを持つ初心者のほとんどが、ポールを持つ前と比較して、ポールを持つその瞬間から歩幅が広がるのです。
『歩幅が広がる≒認知症予防につながる』ので、ポールウォーキングは認知症予防にもなります。
認知症予防に興味がある方は、ぜひポールウォーキングを習慣化してください。
ポールウォーキングの運動強度
ポールウォーキングを効果的な運動プログラムとして活用するためには、その運動様式を正しく理解し、自在に運動強度を操ることが重要です。
ポールウォーキングの運動強度は、歩幅(ストライド)とそれに連動する上半身の動き(パンチ&プル動作)で決まります。
ポールウォーキングの運動強度設定
歩幅(ストライド)に応じて、3段階の設定があります。
- 1段ギア:通常歩行時のストライドに相当します
- 2段ギア:通常歩行時よりストライドをややのばします
- 3段ギア:身長の半分程度のストライドに相当します
初めてポールウォーキングにチャレンジする時は、1段ギアからです。なれると自然に2段ギアに移行します。
体力のある方は、初めてのポールウォーキングでも2段ギアにチャレンジしても大丈夫です。
生理学的運動強度とポールウォーキング
生理学的運動強度とは、運動時の身体へかかる負荷の程度のことで、その指標としては自覚的運動強度(RPE、ボルグスケール、主観的運動強度ともよばれます)を使うのが有効です。
心拍数も生理学的運動強度の指標ですが、実際のウォーキング時には心拍数をモニターできない場合も多いので、自覚的運動強度を使いましょう。
自覚的運動強度
自覚的運動強度とは、自覚的に感じる運動強度を『非常に楽である』から『非常にきつい』まで15段階に分けて数値化(RPE6~RPE20)したものです。
ポールウォーキングで健康づくりを目的とした場合の目安は、RPE11(楽である)からRPE13(ややきつい)です。
この目安を60歳から70歳代の心拍数に換算すると、110~125拍/分に相当します。
にこにこペース(aerobics with smile)
誰もが容易に笑顔で行える運動強度を言います。
にこにこペースの特徴は、高齢者や運動習慣のない低体力者でも、無理なく30分程度の運動が可能です。
健康に不安を抱えているシニアや、運動習慣のない方は、にこにこペースから始めましょう。
運動強度を変えるテクニック
ポールウォーキングの運動強度は、ストライド(歩幅)やピッチ(歩行リズム)や環境(坂道や階段など)に依存します。
ギヤチェンジ
ポールウォーキングでは意識して歩行速度(ストライドやピッチ)を変化させることを、ギア・チェンジと呼んでいます。
スローピング、ステッピング
スローピングとは、坂道を登り降りするテクニックを言います。
ステッピングとは、階段を昇り降りするテクニックです。
スローピングやステッピングは、運動強度を変える(負荷を大きくしたり、少なくしたり)するテクニックだけでなく、ひざの負担を軽減し、安全に昇り降りするためのテクニックでもあります。
ポールウォーキングと医療
ポールメディカルウォーキングと呼ばれていますが…
ポールウォーキングは日本の整形外科診療の中から考案され、開発されました。
今日では健康の維持や向上のためのウォーキングメソッドとして進化しています。
また考案当初から治療やリハビリに有用な運動として処方されたため、ポールメディカルウォーキングと呼ばれています。
とはいえ、医療行為としてポールウォーキングをとらえた場合、アドバイスできるのは医師のみです。
当然ですが認定コーチは医療行為はできません。
しかし健康習慣の構築に向けて個別に動機づけの支援をすることはできます。
また体験会などに参加した人の面談情報などから、参加の可否や医療機関受診の必要性などを検討して、安全で有効な指導を行います。
健康づくりのための体力3大要素
健康づくりには、運動と栄養と休養の3つのバランスが重要です。
これら3つの要素のうち、どれか一つでも欠けていると理想とする健康状態が実現できません。
また運動による体力づくりとしては、有酸素運動による持久力や筋トレによる筋力、ストレッチングによる柔軟性が重要になります。
健康づくりとしてポールウォーキングを行う場合は、この3つの要素をバランスよく高めることが重要です。
- 『持久力』は有酸素運動によって高まる
- 『筋力』は筋トレによって高まる
- 『柔軟性』はストレッチングによって高まる
上記の有酸素運動と筋トレとストレッチを『ポールウォーキングの3大特徴』と呼んでいます。
疾病とポールウォーキング
ポールウォーキングは、生活習慣が原因で発症する疾病や、外傷後の体力回復に有効なメソッドです。
ポールウォーキングの3大特徴(有酸素運動と筋トレとストレッチ)を組み合わせてトレーニングすることで、より良い効果が期待できます。
ポールウォーキングは理想的な有酸素運動を可能にし、ポールを使ってする体操(ストレッチや筋トレ)はより安全な体操になります。
超高齢社会とポールウォーキング
ポールウォーキングは超高齢社会の課題を解決する有力な処方箋です。
※超高齢社会とは…5歳以上の人口割合が、全人口の21%を占めている社会をさします
超高齢社会の課題
わが国の65歳人口は2015年に『団塊世代』が前期高齢者(65歳から75歳)に達しました。
これまでの高齢化の課題は、高齢化が進む速さに対する対処でした。
しかし2015年以降は、高齢者の多さに対する対処が必要になってきました。
フレイルについて
年をとれば体力や気力が衰えるのは避けられないことです。
健康な状態から要介護状態になる中間の時期を『フレイル』と呼んでいます。
フレイルは虚弱に相当する英語から作った造語です。
またフレイルになる直前の状態をプレ・フレイル(前虚弱)と呼んでいます。
健康な状態からプレ・フレイル、プレ・フレイルからフレイルへの移行スピードは、運動習慣の有無や栄養状態、社会参加頻度などによって変化し、適切な対策を施すことで改善します。
フレイルは単に身体的フレイルだけを意味しているのではなく、心理的フレイルや認知的フレイル、社会的フレイルなど多面的な側面を持っています。
フレイルの三大特徴とは?
- 身体的フレイル:ロコモティブシンドローム、サルコペニアなど
- 心理的認知的フレイル:うつ、認知機能低下など
- 社会的フレイル:独居、孤食、経済的困窮など
3つのフレイル形態は相互に関連しており、1つが欠けると負のスパイラルが生じて要介護に至る可能性が高くなります。
フレイル予防は3つの要因を理解し、適切に介入することが重要です。
健康寿命の延伸
健康寿命とは、『健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間』と定義されています。
平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある『健康ではない期間』を意味します。
健康寿命も平均寿命も年々延びていますが、その差はわずかですが縮小してきています。
これは『元気高齢者が増えていることが、数字として証明されている』ことの証と考えられます。
これからの超高齢社会において、平均寿命と健康寿命の差(健康でない期間)をいかに縮めることができるかが、大きな課題となっています。
ポールウォーキングへの期待
超高齢社会において、フレイルの予防や健康寿命の延伸は喫緊の課題です。
ポールウォーキングは身体的フレイルの予防のみならず、仲間と一緒に歩くことで社会的フレイルの予防にも有用です。
またウォーキングによる食欲の亢進や心身のリフレッシュによる心理的認知的フレイルの予防も期待できるプログラムでもあります。
ポールウォーキングは足腰の弱った方を含めて、日常生活の中で…
- どこでも
- いつでも
- 安全に
- 効果的に
実施できるという特徴をもったウォーキングメソッドです。
自立した日常生活を維持、延長することに資する特質から、多くの元気高齢者を増やす最適なプログラムです。
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