痛みや違和感への対処法【ウォーキング・クリニック:処方箋1枚目】
ウォーキングは安全性の高いスポーツです。
このことが多くの人にウォーキングが受け入れられている、大きな要因の一つでしょう。
とはいえ、絶対に支障(故障など)が起こらないわけではありません。
ちょっとした違和感や痛みなどの不調が出てくることがあります。
結論:一番良くないのは、違和感や痛みがあっても歩き続けること
自分の身体が発するSOSに耳を傾ける
単純に筋力が弱くて不調が出たような場合には、しばらく様子をみているうちに治ります。
そうでない場合、不調を我慢してウォーキングを続けると、本格的な故障になってしまうこともあります。
不調の原因は日常生活にあるにも関わらず
「最近始めた、ウォーキングが原因かな?」
などと思うこともあります。
身体が感じる不調については、ウォーキングが生活動線上にあるスポーツのため、正しく原因を特定することが難しい側面があります。
医師の診察を受け、MRIなどで検査しても、故障の前段階では把握できません。
ならば不調を放置するしか方法がないかというと、そうでもありません。
不調のある部位や痛みの種類など、正確に言語化して専門家(スポーツドクターなど)に伝え、アドバイスをもらう方向性で考えましょう。
一番よくないのは、痛みがあっても我慢して歩き続けることです。
痛みをカバーする動きを身体が自然とすることによって、『別の部位を痛めてしまった』とは、本当によく聞く話です。
そして新たに痛みが出た部位の方が、より深刻な故障に繋がることも、本当によくある話です。
なぜなら身体は自然にバランスを取ろうと動作するからです。
これでは正しいウォーキングなどできるはずがありません。
まとめ
始まりはちょっとした痛みや違和感でも、それは身体が危険を知らせる『SOS』かもしれません。
もしそうなら、本格的な故障になるのを防ごうとする、身体からのアラートです。
普段から自分の身体が発する『SOS』に、耳を傾けましょう。
ウォーキング時の身体の不調の対処法7選【ウォーキング・クリニック:処方箋2枚目】
ウォーキングが原因の不調の場合、共通する段階を経て、不調が出ることが多いです。
共通する段階は、次の三段階です。
- 歩きのバランスが悪く、特定の筋肉に負担がかかる
- 負担のかかった筋肉が硬くなって、伸縮が悪くなる
- 伸縮が悪くなった筋肉に引っ張られて、その筋肉と繋がる腱に不調が出る
結論:肩甲骨を動かす正しいウォーキングをして、一部の筋肉に負担が集中しないようにする
身体の部位ごとの不調への対処法7選
膝痛
色々な種類の膝痛がありますが、しかし大元の原因は歩きのバランスが悪く、体幹で受け止めるべき衝撃が一部の筋肉の負担になっているからです。
膝の下の部分の痛みは、主に筋肉不足が原因なので、ウォーキングを続けて筋力が回復してくれば解消します。
腰痛・股関節痛
ウォーキングで腰や股関節が痛くなる場合、猫背で歩いているなどフォームが悪いのが原因です。
背中が張るとか腰に疲れが溜まるなど、何らかの違和感が前兆としてありますので、見逃さないのが大切です。
どちらも太ももの内側の筋肉と、その周辺の筋肉をもみほぐしましょう。
腰痛・股関節痛は悪化させると厄介なので、すぐに受診すべきです。
足首の痛み
足首が痛む場合、過去にひどい捻挫を経験したことがないか、思い出してみてください。
すっかり忘れている捻挫が原因の場合、痛みを完全に取ることは難しい場合が多いです。
舗装路ではなく、芝生を歩くことをお勧めします。
芝生を歩いて寛解しないなら、様子を見ているだけでなく、なるべく早く医師に相談してください。
足の裏(土踏まず)の痛み
長時間の歩行時に痛むことがあります。
土踏まずの周辺の筋肉をほぐすと、再びアーチが戻ってきて痛みが和らぎます。
長時間歩行の疲れから痛みが出ているなら、様子をみましょう。
痛みが引かない場合には腱を痛めている可能性がありますので、その場合には受診しましょう。
脛の痛み
向こう脛の内側の痛みは、『シンスプリント』と呼ばれ、筋力不足が原因です。
踵着地を意識しすぎると、それが原因で起こることもあります。
シンスプリントは筋力アップで卒業できます。
首筋や肩の凝りや痛み
腕振りを意識しすぎて、上体に余分な力が入っているときにおきます。
ウォーキングの途中で伸びをしてみたり、肩甲骨が動くように意識しながら腕を回すようにしましょう。
リラックスしてウォーキングするように意識しましょう。
腰やお尻の片側だけ痛む
骨盤が歪んでいる可能性が高いです。
骨盤の周りの筋肉をリラックスさせる必要があり、整体で矯正するか、ストレッチ体操で筋肉をほぐすと良いでしょう。
まとめ
足の痛みに対応するには、肩甲骨を動かす正しいウォーキングをして、身体全体でウォーキングの衝撃を分散させる健康習慣ウォーキングが必要です。
また様々な足の不調については、靴の影響も大きいと思われます。
靴を履き替えたら治る場合もありますので、その点も考慮すべきだと筆者は思います。
ウォームアップとクールダウン【ウォーキング・クリニック:処方箋3枚目】
ウォーキングは身体への負担が小さく、やる気になれば、その場で歩き出せる手軽さが持ち味です。
実際、「ウォーミングアップやクールダウンとして、ウォーキングをしている」という運動選手も多いのです。
「ならばウォーキングにウォームアップやクールダウンは必要ないのでは?」という議論があるのも頷けます。
結論1ウォーミングアップ:気晴らし散歩なら必要ないが、健康習慣ウォーキングなら実施した方がいい
結論2クールダウン:足裏を揉むとか、緩やかに伸ばすなどのアフターケアは実施した方がいい
ウォーミングアップで気持ちを高める
ウォーキングの手軽さを重視するなら、ウォーミングアップは必要ないと思います。
それより
「これからウォーキングするぞ!」
という気持ちを高める効果を期待して実施する方がいいと思います。
筆者はラジオ体操の習慣がありました。
そこでウォーキングの習慣化に、『ラジオ体操の後にウォーキングする』という習慣をくっつけることで、ウォーキングの習慣化を達成しました。
ただ健康習慣ウォーキングをする前に、肩甲骨が動くように、準備としてウォーミングアップすることは意味があります。
より効果的に、体幹を使ってウォーキングをしたいなら、ウォーミングアップは実施すべきです。
ウオーキングにクールダウンは必要か?
一般的にクールダウンは、それまでしていた運動の負荷を下げる動作をします。例えばランニングなら、ウォーキングがクールダウンになります。
ウォーキングの場合、ウォーキングより負荷が低い運動は『足踏み』とかになると思いますが、それなら『青竹踏み』がいいでしょう。
ウォーキングで強張った土踏まずの筋肉や腱を伸ばしたり、ほぐしたりできるからです。
クールダウンの必要性
クールダウンにウォーキングを取り入れている運動選手も多いので、
「ウォーキングにクールダウンは必要ないのでは?」
と思う人がいても当然です。
しかし運動習慣のない人がウォーキングをしたら、筋肉に乳酸が溜まって強張ったり、張りを感じたりするはずです。
そのような場合には、クールダウンをした方がいいです。
簡単に筋肉を揉んでほぐして、その後の時間を気持ちよく有意義にすることができなたら、それで目的は果たせたと思います。
まとめ
筋肉が張るような感じがするのは、血流が悪くなって乳酸などの老廃物が残っているからです。
その筋肉を揉むことで、血流をよくして老廃物を流すことができます。
『ゴルフボール踏み』でも同様の効果が得られます。
ぜひ試してみてください。
シューズ選び【ウォーキング・クリニック:処方箋4枚目】
より快適にウォーキングをするために、知っておくといいことがあります。
ウォーキング用の靴選びについてです。
ウォーキングの効果という意味で、どんな靴を履いてウォーキングするのかは、非常に影響が大きいと考えます。
どのようなウォーキングをするかで靴を選ぶ必要があります。
結論:スポーツシューズをたくさん扱う店で、アドバイザーに相談して購入するのがベスト
シューズ選びの基礎知識
基本的に、革靴やヒールのある靴はウォーキングに向きません。
革靴は靴底が硬すぎ、土踏まずに大きな負担がかかるのはもちろん、足全体に大きな衝撃がかかります。
またヒールのある靴は、着地衝撃をヒールの狭い面積で受け止めるため、非常に不安定です。
もし仕事場で履く靴と、ウォーキングを両立させる必要があるなら、ビジネスシューズと同じデザインで、機能はウォーキングシューズという靴がありますので、一つの候補として検討してみてはいかがでしょうか。
ランニング用とトレッキング用、どちらを選ぶべき?
ウォーキング初心者なら、ランニング用を選ぶといいでしょう。
ランニング用にも色々と種類があります。
主として長時間ゆっくり走るための靴として売られているものがいいです。
もし可能なら、スポーツシューズをたくさん扱う店で、アドバイザーに相談しながら購入するのがいいでしょう。
ウォーキングから発展してランニングするようになった場合にも、ある程度までは対応できるはずです。
一方、ウォーキングから発展してハイキングや山歩きを考えている場合には、トレッキング用の靴を選択するのもアリだと思います。
トレッキングシューズを購入するのは、山道具の専門店で、やはりアドバイザーに相談して購入しましょう。
トレッキングシューズは、絶対に自分だけの判断で購入しないでください。
フィットしない靴で山に行くと、最悪は遭難してしまいます。
この点だけは強調したいと思います。
試し履きは夕方に!
サイズが合うことは重要なファクターです。
その意味で、夕方の方が足がむくんでいますから、試し履きは夕方の方がいいです。
履いてみたら実際に数歩でも歩き、擦れて痛みがでそうな感じはないか確認しましょう。
くるぶしが当たって痛みがでそうなものは、絶対に避けてください。
まとめ
スポーツシューズをたくさん扱う靴屋さん、もしくは山用品の専門店でアドバイザーに『ウォーキングで使うこと』を伝え、
「将来的にこう使いたい」
などの希望や、
「これくらいの頻度で歩く」
などを伝えた上で、いくつか選んでもらいましょう。
もちろん
「有名選手と同じ靴が欲しい」
や、
「このメーカーの靴が欲しい」
という希望があるなら、そう伝えるべきです。
アドバイザーが選んでくれた靴の中から、試し履きをした上で、『自分にあった一足』を決めましょう。
気象条件を見極める【ウォーキング・クリニック:処方箋5枚目】
ウォーキング時の服装については、基本的になんでも構いません。
思い立ったらすぐにできるのが、ウォーキングのいいところ。
わざわざ着替えるのが面倒な人は、普段着で、『そのまま歩く』で構いません。
結論1:暑さ寒さといった気象条件は、決して軽視しない
結論2:気象条件や時間帯を考慮して、適したウェアを選択する
酷暑の日には、外に出るのを控える
暑さや寒さといった気象条件は、決して軽視しないでください。
特に心疾患があったり、血圧に心配があるような人は要注意です。
不安を感じたら、勇気を持ってウォーキングは控えてください。
どうしても外で歩きたかたら、暑い日は少しでも涼しい時間帯にするとか、日陰のある道を選んで歩くとのかの工夫が必要です。
また、そういう日は熱中症や脱水症状になる危険性があるので、途中で必ず水分補給をしてください。
身体にとって過酷な条件を考慮する
寒い日の場合には、少しでも暖かい時間帯を選んで歩きましょう。
また風が体温を奪いますから、風の当たらない道を選ぶとか日向の道を選ぶなど、体調に関わらず考慮しましょう。
寒すぎる、もしくは暑すぎるという過酷な状況でウォーキングする場合、気候のいい時期に比べて70パーセントの負荷に抑えるようにしましょう。
雨の日のウォーキングについては、自分との相性で決めてもらえれば大丈夫です。
筆者の場合、多少の雨なら気にせず、傘をさして歩きます。
夜のウォーキングは反射素材を身につける
帰宅時間をウォーキングに当てている人も多いと思います。
暗くなってから歩くときは、自動車や自転車に気をつけることはもちろんですが、光を反射する素材を身につけましょう。
筆者の場合は、反射素材が使われているリュックを使っています。
「会社にリュックは…持ってけない…かな?」
という場合には、腕に巻くタイプの反射材を利用して、帰宅時のウォーキング時に身につけて歩くようにしましょう。
帰宅してからウォーキングに出かける場合には、黒っぽい服装は避けてください。
ランニング用のウェアやシューズには、光を反射する素材が部分的に使われていて、安全性が高いと思います。
これからウェアを購入する場合には、考慮したいポイントです。
まとめ
ダイエットのために歩くなら、血糖値が低く、脂肪燃焼しやすい朝がいいでしょう。
しかし「ウォーキングするには、どの時間帯が最も有効か?」
を気にするより、
「ウォーキングの習慣化のためには、どの時間帯が一番いいか?」
という発想で組み立てた方がいいと思います。
無理しない【ウォーキング・クリニック:処方箋6枚目】
生活の中でウォーキングを習慣化しようとする時、大敵となるのは言い訳の数々です。
やらない理由はいくらでも思いつく。
いえ、やらない理由を脳が勝手に作り出します。
雨が降っているから、昨日は飲みすぎたから、疲れているから…
習慣化のためには少しでも歩いた方がいい。
しかし無理して義務感でウォーキングするなら、むしろ歩かないで休んだ方がいいです。
結論:無理して義務感でウォーキングせず、休む時は休んでいい
休んでも大丈夫
ウォーキングの最大のメリットは、手軽なことです。
やめてしまって時間が空いても、また再開すればいいと思うのです。
ウォーキングを継続して、その効果を実感したとしても、ブランクが空けば身体は元に戻ってしまいます。
元に戻った段階から始めると、やり直す形にはなりますが、一度その効果を実感するまでやっていると、戻りが早いのです。
筋力は落ちてしまっても、身体は記憶しています。
一度覚えたことは無駄になりません。
モチベーションを保つ
いくら『ウォーキングは、いつ再開してもいい』とはいっても、ウォーキングを続けられれば、それに越したことはありません。
そのためには、ウォーキングするモチベーションを高く維持する工夫が必要です。
好みの音楽を聴きながら歩くのもいいですし、ウォーキングの記録をつけるのも一案です。
最近はスマホにアプリをダウンロードして、ウォーキングの記録を一括管理している人も多いようです。
歩数をカレンダーに記録するだけでも、モチベーションはアップします。
自分の一日に歩ける歩数が、以前と比べて伸びていくのは、自分の成長が感じられ本当に楽しいです。
まとめ
日々のウォーキングの積み重ねを記録することで、例えば東海道五十三次を歩いている気持ちになったり、伊能忠敬の測量の旅、四国八十八ヶ所お遍路さんの旅などを辿るのも楽しいと思います。
ウォーキングは苦しい運動ではありませんが、気持ちの面でモチベーションを高く保つことが難しい側面があります。
工夫しながら習慣化すると楽に継続できます。
そしてウォーキングを習慣化できた時、目指していた『健康』はあなたの手の中にあることでしょう。
【参考文献】
・金哲彦『からだが変わる体幹ウォーキング』平凡社新書
・金哲彦『確実に早くなる!体幹ランニング』講談社
・長尾和宏『認知症は歩くだけで良くなる』山と渓谷社
・長尾和宏『病気の9割は歩くだけで治る!』山と渓谷社